表札作り その5(表札完成)

みなさんこんにちは、お墓の字彫りやさん 石の丸進 久野全弘です。

ようやく春めいた季節になってきました。愛知県岡崎市には、岡崎公園という桜の名所がありましてね。今週に入ってから陽気が良いせいか、平日の朝から幹線道路である国道一号線は渋滞気味。毎朝その道を元気にトラックで取引先様の集配に向かっております。満開の桜が非常に綺麗ですし、公園入口の公園名碑(岡崎公園)は弊社が以前に彫刻させて頂いた文字ですので、お時間のある方は是非ともお越し頂きたいです。

今回はいよいよ表札完成ということで、完成した伊達冠石表札をお見せしたいと思いますが、前回の続きから順番に行きましょう。

次の作業工程は、文字のカットです。文字のカットは、複写された文字になぞって切り込みを入れ、彫刻するための文字を作る作業です。生憎、作業風景は写真を取り損なってしまいましたが、途中経過がこちらです。

左側がプリント、右側が複写したマスキングゴムです。まずは久の字のみ、ナイフで切り込みを入れ文字を作りました。もちろん、ナイフでのカットも私本人が自ら切っております。カットした文字は、少しだけ文字のかすれをトリミングしてあります。そして最後まで切ったのがこちらです。

ゴムを切った部分を抜いて、石の磨き肌を露出させます。ここに、サンドブラスト用の砂を当てて、文字の磨き部位を削る。これが文字彫刻の技法です。ちなみに、文字以外の部位に砂が当たってしまうと削れてしまうため、ガムテープで養生するのが定番です。そして、いよいよ砂を当てた(彫刻)ものがこちらです。

文字の黒色部分が、ゴムに近い灰色になってるのがお分かりになりますか。今回の彫刻は、文字自体を如何に表現するのかとういう目的がありました。通常の彫刻は、文字の幅分だけ彫り下げます。今回は全く彫り下げない彫刻技法を選定しました。文字を彫刻して彫り下げると、文字の中に陰影がつきます。通常の表札やお墓では、陰影がつくことで立派に見えたりします。しかし、陰影がつくことで文字自体が見えにくくなるため、今回は書道家武田双雲さんに書いて頂いた文字自体を、そのまま表現したい思いがありました。だからこそ、陰影をつけずに表面のみを削る技法を選定しました。そしてこちらが、マスキングゴムを剥がし、完成した表札です。

皆さん、如何でしょうか。カッコよく出来ていますかね。野の字の細かい跳ねの部分が少し切るのに苦労しましたが、自分自身も納得の出来栄えに惚れ惚れします(汗)表面のみ削っただけの部分はどうなってるの?という読者の方もいらっしゃるかもしれないので、彫刻面アップはこちら

お分かりになられますか、磨き面をほんの0.3mmほど削っただけで、こんなにも色合いというかテイストが変わってくる。本当に石って面白い素材だなーと実感した次第です。ここまで、長きに渡り表札シリーズにお付き合い頂きました読者の皆様、本当に有難うございました。まだ自宅の方には設置しておりませんが、設置できた暁には、また皆様にお見せしたいと思っております。完成写真も平置き撮影なので、最後にこちらも御覧ください。

文字そのものの良さが引き立ってませんでしょうか。もう、出来栄えの良さを自慢したくて仕方ないみたいです(汗)

次回、仏画彫刻のシリーズに突入します。飽きずに読んで頂けたら幸いです。

それでは皆さん、またお会いしましょう。